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活用事例

北海道社会事業協会帯広病院

薬剤師の存在価値向上のための、病棟業務と調剤業務の拡充を支援する医薬品情報統合システムの活用

地域に根ざした安全医療の提供を標榜する北海道社会事業協会帯広病院(以下、帯広協会病院)。薬局部門は、1病棟1薬剤師体制を築き、あわせて薬剤師の存在価値の向上に努めている。そうした環境づくりの課題の1つであった医薬品情報を提供する環境を、2004年12月のオーダリングシステム稼働を機に導入した医薬品情報統合システムによって一変させた。薬剤師の知識、経験を医療現場に活かし、薬局の存在価値向上の一端をシステム活用が担っている。

薬剤師としての存在価値をいかに高めるかが課題

1937年開設の帯広協会病院は、北海道の社会福祉振興を目的に大正時代末に設立された北海道社会事業協会が運営する病院のひとつ。同協会は社会福祉法人として現在、道内に7つの病院をはじめ、母子生活支援施設、保育所、介護老人保健施設、看護専門学校などを設置・運営している。帯広協会病院は、7病院の中で最大の360床、11診療科を擁し、地域センター病院としての役割を担っている。

同病院の薬局は、現在9名の薬剤師が所属している。そのうちの5名が病棟業務に従事しており、病棟での服薬指導に力を入れている。しかも1人の薬剤師が、同じ病棟を長年にわたって担当している。薬剤師としての専門的な知識、経験を病棟治療に役立てようという方針からである。

「毎日更新され、情報の鮮度が圧倒的であることが選定の決め手だった」と語る薬局長の根本博子氏 「毎日更新され、情報の鮮度が圧倒的であることが選定の決め手だった」と語る薬局長の根本博子氏

「薬剤師も患者さんの立場に立って、病棟のチーム医療に貢献できるように1病棟1名体制を築き上げてきました。以前の薬局業務は、薬局での調剤・製剤業務、注射管理、医薬品情報活動が主で、体制的にも服薬指導等は依頼があったときに対応するというのが実状でした。チーム医療に貢献し、薬剤師の存在価値を高めるためにも病棟業務の強化を図る必要があります」。薬局長の根本博子氏は、薬局の方針をこう述べる。

薬剤師の服薬指導強化は、それ自体が診療報酬加算の対象になるから病院経営に貢献という側面もある。さらに病棟での薬剤師の存在価値を高めることによって、薬剤師の待遇改善を図り、今後の薬剤師確保につなげたいという思いが根本氏にはある。

現在でこそ1病棟1名体制を実現できているが、4年前は薬剤師全員で7名しかおらず、病棟での服薬指導もそうだが、医薬品情報活動にも十分に業務 ウェートを割くことができなかったという。特に4年前までの医薬品情報を提供する環境は不十分で、医薬品集は医薬品名やメーカー名など最低限の情報を記載したものしか提供できなかったし、医師からの問い合わせに対しても迅速に対応できないことが多かったという。

「以前の医薬品情報管理は、スタンドアローンのパソコンで市販のソフトウエアを使って行っていました。大きな問題は、その情報更新が年1回、多いときでも年3回程度しかできず、情報の鮮度が保てないこと。医薬品集も一応、そのソフトでプリントして作成していましたが、常に追補版を作成して補う必要があり、その作業が非常に大変でした。調べるときにも、パソコンを見て、追補版を見て、それ以上の情報は添付文書を引っ張り出してと、あちこちを見なければならない状況でした」(根本氏)。


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医薬品情報活動の強化のために医薬品情報システムを刷新

医薬品情報活動の強化も薬剤師として存在価値を高めるために不可欠な業務。そうした環境を何とか変えたいと考えていた根本氏は、2004年のオーダリングシステム導入時に医薬品情報システムの刷新に踏み切った。

「当時はシステムの情報も乏しく、あちこちに問い合わせたときに教えられたのが『JUS D.I.』でした。他社のシステムとも比較検討しましたが、いずれも情報の更新が年1回程度であるのに対し、『JUS D.I.』は毎日更新され、情報の鮮度が圧倒的であることが選定の決め手でした」。医薬品情報システムの検討の経緯と選択の理由を、こう根本氏は述べる。

帯広協会病院が導入した「JUS D.I.」は、日本ユースウェアシステム(東京都品川区)が開発した医薬品情報統合システムで、医薬品医療機器情報提供ホームページで提供される医薬品の添付文書情報をはじめ、厚生労働省のホームページで公開された薬価・後発品・局方品情報などを毎日、最新の情報に更新できる。情報は院内LANとは繋がれていないパソコンからインターネットを介して更新データをダウンロードし、USBメモリーなどの記録媒体を使って院内LANと接続された「JUS D.I.」サーバーのデータを最新版に更新して、各端末から検索・参照できる。ちなみに同病院は、同時ログインが5端末に制限された5ライセンス版を導入している。

ログイン制限がある5ライセンス版であるため、根本氏は当初「利用できない時間帯があるのでは」と心配したというが、「接続できない時間帯は夕方などに限られ、わずかな時間を待てばすぐにログインできることでその心配も解消され、現在では問題なく利用できている」という。そうした中で、システムの利用頻度が最も高いのが、各診療科の医師だと指摘する。


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服薬に対する患者の不安解消に貢献

「JUS D.I.」を頻繁に利用しているドクターのひとりである泌尿器科の主任医長・國島康晴氏は、同システムの利用することのメリットのひとつとして、他の科で処方されている薬剤がある場合にその内容が瞬時に確認でき、効能・効果、併用に関する注意事項などを把握できることを挙げる。

JUS D.I. のユーザーインターフェイスJUS D.I. のユーザーインターフェイス

「他の科で処方された薬剤を把握できれば、より安全に処方を計画することができます。それによって患者様が併用に対して不安を抱くことなく、処方することが可能になります。また、薬剤は患者様の年齢や腎機能などによって投与量や用法を変更する必要がありますが、すべてを把握していることは現実的には不可能であり、また、なんら情報がないままにそれらを調節することは誤った投与の危険性があります。処方薬剤を決定してから、本システムを利用することにより、その薬剤の用法用量、代謝経路などが把握できるため、安心して調整が可能です」(國島氏)。

また、副作用に関して患者に同じ端末の画面を見ながら説明できることによって、患者の不安を取り除く効果も大きいと指摘する。処方された医薬品の効果や副作用の簡単な文書を調剤薬局で渡されることは多いが、副作用に関しては可能性のあるものを列挙するに留まり、その頻度などに触れられることはほとんどない。院外薬局でこうした説明文書をもらった場合、患者は副作用が心配になるものだ。

「『JUS D.I.』は、各薬剤の副作用に関して、その頻度を含めて閲覧できるので、それを患者様に画面を見ていただきながら説明できる利便性もある。私たちは薬剤の重篤な副作用や頻度の高い副作用はおおむね把握していますが、詳細まで記憶していることは不可能です。しかし、患者様に質問されてから「今日の治療薬」といった資料を引いてそれを読み上げることは、医師に対する信用を低下させ、結局服薬に同意いただけなかったり、服薬コンプライアンスを低下させたりすることにつながります」(國島氏)とし、患者の服薬に関する不安解消、医師に対する信頼度の向上にも貢献すると述べる。


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医師からの高度な問い合わせに迅速に応えることが可能に

整然とした薬局内整然とした薬局内

システムの導入によって薬局に常駐する薬剤師の業務も効率化された。特に医師からの医薬品情報に関する問い合わせに対して、情報検索の時間短縮が大きく改善されたという。臨床の現場で医師自らがシステムにアクセスできる環境があっても、「従来通りに薬局に問い合わせる医師もいるし、システムに掲載されている情報以上の内容の問い合わせに応じることが多くなった」と指摘する根本氏だが、その問い合わせに答える作業が、システム導入によって効率化された。

「そもそも以前のシステムでは、ドクターから問い合わせがあると、システムで基本情報を検索して、書棚から添付情報を引き出し、それを見ながら回答するため、手間はかかるし、即座に対応できないことも多々ありました。しかし、今では最新の情報に素早くアクセスでき、迅速に回答できるようになりました。また、添付文書上では読み取れないような内容を問い合わせられることが多くなり、インタビューフォームなどで高度な情報を提供するケースが増えました。薬剤師としての、より高度な知識、より詳細な情報の提供ができるようになったと感じています」(根本氏)。

もちろん、病棟薬剤師に対して病棟医師からの問い合わせも減り、以前のように薬局に戻って添付文書等で調べて回答するといった作業がなくなった。それは、つまり病棟薬剤師の本来の業務である服薬指導に専念できる環境を作ったともいえる。根本氏が冒頭で語ったように、病棟薬剤師がチーム医療に大いに貢献し、薬局の薬剤師もより高度な知識・経験を提供し、薬剤師の存在価値の向上に寄与する環境づくりが進んでいる。医薬品情報統合システムが、それに少なからず貢献していることは言うまでもない。


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北海道社会事業協会帯広病院

病院概要
名称:
北海道社会事業協会帯広病院
住所:
北海道帯広市東5条南9丁目2番地
Webサイト:
http://www.obihiro-kyokai-hsp.jp/
システム開発・導入:
日本ユースウェアシステム(東京・品川)
総販売元:
スズケン

※このコンテンツは、
日経メディカルオンライン「医療とIT」に掲載(2008年7月10日)された記事から転載したものです。日経BP社に転載許可をいただいております。

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